
介護職ではコミュニケーション能力を求められる仕事でもありますが、利用者と積極的にコミュニケーションを取ることが苦手な方が以外にも多いです。
今回は
- 利用者と上手く会話ができない。
- もともと人見知りで、会話が苦手。
- 利用者にどう接していいかわからず、声掛けに躊躇してしまう。
そんな方に、生活相談員歴10年以上で、施設の体験や担当者会議などを通してご利用者やそのご家族とコミュケーションを取り続けてきた私が、ご利用者とのコミュケーションが苦痛にならない方法を伝えていきます。
利用者とのコミュニケーションのメリット
・利用者と気軽に接することができる
・気軽に接することで、信頼関係を築ける
そもそもご利用者の中には年代が違ったり、ときには気難しそうで口下手な方がいらっしゃいます。
そんな時、何を話しかけていいかわからなかったり、会話が弾まなくで気まずい雰囲気になって、困ったりすることがありますよね。
上手くコミュケーションが取れないと、なかなかご利用者との信頼関係も築けなくなるのではないかと不安になります
そして、介護の仕事に対しての自信を持つことができなくなったりします。
コミュニケーションのポイントがわからないと
・上手く利用者と、接することができない
・利用者を避けてしまう
・利用者との信頼関係どころか、上司や同僚からの信頼もなくなる
コミュニケーションが苦手な方でも、簡単にご利用者とのコミュケーションが取れる方法があります。
それは次の4つです。
- まずは挨拶と一言
- 自分が話すのではなく利用者に話してもらう
- 会話が続かなくても良いと考える
- 短い会話を積み重ねることで関係を築く
ぜひ、実践してみましょう!
そして実践することで、利用者との信頼を築いていきましょう。
まずは挨拶+1
まずは挨拶をしましょう。
それからそこに一言を添えます。
コミュニケーションの入り口は挨拶ですが、社会人にはそれができない人がなぜか存在します。
あるいは、挨拶が暗かったり声が小さかったり、第一印象が最悪な人も存在します。
そんな人と、話をしたり親しくなりたいと思う人はいません。
利用者との会話が~のまえに、しっかりと挨拶をしましょう。
そこに何か一言を付け加えると、印象が大きく変わります。
そもそも挨拶をするのは何で?
小さいころから、挨拶をきちんとしなさいと言われることが多いです。
では、なぜ挨拶をする必要があるのでしょうか?
その人の存在を認め、それをその人に伝えることが挨拶をする理由です。
つまり
・その人の存在を承認している
・その人の存在を肯定している
・その人のことを、気にかけていると伝えている
逆に挨拶をしなかったり気持ちのないものだったりすると、相手の存在を認めていないことになります。
つまり、挨拶をしないことはその人をいないことにしています。
高齢者にとって、自分の存在をないことにされるのは、とてもつらいことです。
・仕事をしてない
・できないことが増えている
・家族から、厳しい言葉をいわれている
このような生活状況で、
日頃、誰かの世話になることに負い目を感じている方がとても多いです。
そして
このような生活状況の中で、さらに介護施設で自分の存在をなかったことにされてしまうからです。
しっかりと挨拶をして、ご利用者の存在を心から認めていることを、しっかりと伝えてください。
会話をする前に、しっかり挨拶からです。

そして一言
挨拶をしっかりしたら、そこに何か一言を添えます。
挨拶に何か一言を加えるだけで、ご利用者はいろいろと話してくれます。
その際にはできる限り、その方に特化した内容を添えましょう。
・ため息が聞こえてきたらどうしたのか?
・髪形や服装の変化があれば指摘する。
・旅行や家族の帰省があったら、そのことについて聞く
ご利用者のことを見ていることが伝わり、相手もうれしくなります。
そこから関わり方が変わっていきます。
一言を添えて接するだけでも、相手からの印象は大きく変わります。
ご利用者からの信頼を得ている職員は、ご利用者のちょっとした変化や久しぶりの利用であることなどに気付くことができます。
そして朝にあった時、挨拶の後に必ずその話題に触れます。
その時のご利用者の反応は、ほとんど全員が嬉しそうにします。
第一歩では、出会った時の挨拶から一言をプラスして、行動を変えていきましょう。
ではどのような一言を添えるのか?
それは事項を見ていきましょう。
自分が話すのではなく利用者が話す(質問をする)
コミュニケーションや会話が続くための方法としてよく言われているのが、相手の話を聞くことです。
そう、自分が話そうとするのではなく、ご利用者に話してもらうことです。
そもそも介護の現場での会話が苦手と思っている人は、自分が何かを話さなきゃと思っています。
そして日常会話でも、自分がしゃべりすぎていたりすることが意外とあります。
自分:ご利用者=2:8程度の会話の割合をイメージしてみましょう。

話を聞くための質問
話を聞くためにはご利用者から、話を引き出していく質問が必要になります。
既に関係性があればいろいろな質問が出てきますが、まず会話の入り口となる質問を上げていきます。
季節や天気
会話の入り口としては定番中の定番ですが、よく使える内容です。
特に寝たきりの人や外出があまりできていない人にとって、季節の話はおすすめです。
なぜなら、季節の移り変わりなど、私たちが当たり前に感じていることが、感じられない環境にあるからです。
桜が咲いていた、富士山がきれいにみえた、などの他愛のない内容こそがご利用者にとって共感したいことです。
家族のこと
子供のことや孫のこと、配偶者のことは誰かに話したくなる内容です。
・年末に会う予定はあるのか
・子供は次はいつ来てくれるのか
・最近ケンカしたことなど自慢やグチ
このようなことは、私たちも誰かに聞いてほしいときはありますよね?
そこから内容をより具体化します。
来てくれた時には何をしたのか、何が原因でケンカしたのかなどの質問を重ねていくと、より話題が広がります。
体調や病気のこと
年を取ると健康や病気の話が会話の中心になる。と聞いたことがあるかもしれません。
・膝や腰の痛みではどんな時に痛みがあるか
・持病についてはどんなことに気を付けているか
・食事面では気を付けていること
・お医者さんから言われているけどできていないこと
このようなことは、嬉々として話してくれます。
趣味や仕事のこと
男性にとっては昔の仕事の話、女性にとっては子育てや趣味の話など、しゃべりだすと止まらないくらいです。
成功自慢や苦労自慢、自分の好きなことであれば、誰しも流ちょうに話せることがあります。
その人がどんな人生を歩んできたのか、何が好きなのかなど聴くこと、はその人を知る良い機会です。
話がのってきたらゆっくり聞いてあげてください。
あらかじめ、何を質問するかを事前に準備しておくことも大事です。
今日はこのご利用者と会話してみようなど、ターゲットを決めておくとより行動しやすいでしょう。
話を聞く時の注意点
話を聴く際には、注意しておかないとご利用者を不快にさせてしまうことがあります。
不快にさせてしまうとこちらも次回から、話しかけにくくなります。
注意するポイントは、
聞かれてもいないのに、自分の価値観や意見を出さないことです。
話の主人公は利用者となり、その人の世界を受け容れることが大事です。

否定しない
誰でもそうですが、張り切って話をしているところに否定する言葉、腰を折る発言が入ると話をする気が失せてしまいます。
決して否定的な発言はせずに、話しやすいように相づちを打ちましょう。
否定しないことで、話をしやすい雰囲気を作ってあげることです。
アドバイスしない
求められてもいないのに、解決策などのアドバイスをすることは相手を慮っているようで逆効果です。
大半の人は、話を聴いてほしいだけであることが、ほとんどです。
まして病気の話や家族の問題などは、人生の先輩に対してアドバイスできるようなことはないです。
求められてもいないアドバイスをしている時点で、あなた自身が自分を大きく見せようとしていることになります。
相手が何かを話しているときは、まず話したいことを全て話せるような相づちを添えましょう。
自分の価値観は置いておく
どんなに共感できない話でも、まずは受け容れましょう。
例えば、あなたが好きなものを頭から否定されてしまったらどうですか?
自分を否定された気になって、それ以上その人と関わりたくなくなってしまいませんか?
無理に共感する必要はないですが、まずは相手の話を理解することに徹しましょう。
間違っても「論破」などはしないでください。
必要のない怨恨を生んでしまうことにもなります。
共感するときは本当に共感できた時だけ
話を理解するように言いましたが、無理に共感する必要はありません。
本当に共感できることを見つけたときに、心から共感してあげてください。
全くその気がないのに、共感したふりをしても相手には見透かされてしまいます。
お互いに共感できることがあった時に、距離が縮まったり信頼関係が生まれたりします。
政治・宗教・戦争の話はできるだけ避ける
この手の話は本当に個人の価値観が色濃くなる内容なので、できる限り避けましょう。
時にはご利用者同士でケンカに発展することもあるくらい、デリケートな内容です。
うまくコントロールできるようであれば、別の話題に切り替えることを勧めます。

会話は続かなくてもよい
コミュニケーションについての本では、会話が続く方法についてのノウハウが多くあります。
その考えを変えて、会話が続かなくても良いと考えましょう。
そうすると話をすることが、苦ではなくなります。
会話が途切れそうなときには、業務を理由にして「失礼します」と一言おいて去っても大丈夫です。
ほんのちょっと話ができただけでも充分と捉えて、積極的に話しかけましょう。
長い会話よりも短い質のあるやり取り
内容のないやり取りを、お互いに気を使いながらするよりもご利用者にとって必要とするやり取りを一言、二言話せるだけで充分です。
特にその方が聴いてほしいことを少しでも聴くことができたら、短い会話でも相手に寄り添ったことにつながります。
会話を続けることを目的としないことで相手の話に集中できる
あらかじめ会話を続かせようと思っていたら、そこに気を取られしまいます。
次に何を質問しようか、気の利く言葉は何か、何を言うか考えている時点で会話に集中していない証拠です。
相手の言葉に集中し、気持ちを理解しようとする姿勢は、相手に伝わります。
むしろ話していることに対して、即座に準備していた言葉を並べるほうが、本当に聞いてくれているか疑わしくなります。
まずは会話を続けることよりも理解することに徹しましょう。
必ず一言でも言葉を交わせば十分
最初に伝えたように挨拶と一言で充分です。
会話をすることに抵抗がある人や人見知りをする人は、ご利用者を避けてしまうことがあります。
そのような一度も接することがない行動をとってしまうことは、その人の存在を認知・承認していないことになってしまいます。
人間関係において、好きの対義語は無関心です。
存在をないことにされてしまうことが、とてもつらいことは誰もがわかる気持ちです。
利用者にとって一言でも言葉を交わすことは、自分の存在を肯定してくれていることになります。
一言だけでもいいので言葉を交わしましょう。

短い会話を積み重ねることで関係を築く
短い会話でもよいのでそれを日々、積み重ねていきましょう。
そうすると徐々にお互いの距離が縮まってきて、寡黙な方でも話してくれるようになります。
初対面や日頃、話すことがない人といきなり打ち解けることは、よっぽどコミュニケーション能力の高い人でもない限りは無理がありますよね。
1日に1回、接点を持つこと
まずは短い、ちょっとしたコミュニケーションでいいです。
その日に1回、その人と接点を持ちましょう。それでいいです。
そう考えると、話しかけること、話すことにエネルギーはいらなくなります。
それを毎回、続けていくことを積み重ねましょう。
一生懸命にコミュニケーションをとろうとしていることは利用者にも伝わる
少しでもいろんなご利用者に話しかける行動、あるいは逆に話しかけやすい人にしか寄っていかない行動はご利用者は見てます。
いろんな人と、コミュニケーションをとろうとしている行動や気持ちを、継続しましょう。
続けていくと、必ずそれを見ているご利用者がいます。
そんな人には話しかけてくれるご利用者も増えてきますし、話を聴いてもらいたいと思われます。
そうなってくると自分で話をする意識をしなくても、自然と会話が成り立つようになります。
誰に対しても少しの会話を続けること、それをとにかく継続してみてください。
まとめ
ご利用者との会話が苦痛にならないためには、
- まずは挨拶と一言
- 自分が話すのではなく利用者に話してもらう
- 会話が続かなくても良いと考える
- 短い会話を積み重ねることで関係を築く
このように考えて行動することで、会話が苦痛にならなくなります。
話を聴くことは、ご利用者の存在そのものを肯定することになります。
それはご利用者から大きな信頼を得ることができます。
ぜひ行動してみてください。
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