【介護職員へのセクハラ】自分を守るために大事なたった一つの行動

仕事について
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今まで介護の仕事で、セクハラを受けたことはありませんか?
あるいはセクハラと感じながらも、我慢して働いていませんか?

今回は介護職員でセクハラを受けている、あるいは受けているかもしれない。
そう悩みながら仕事をしている人へ、一番、大切な行動をお伝えします。

それは、「すぐに相談すること」です。

今回は「セクハラの被害にあったらすぐに相談する」
この大切な行動について以下の内容で、実例を交えて詳しくお伝えします。

・相談する理由
・相談前にするべき行動(記録)
・相談先

介護現場では、ハラスメントかもしれないと思うことは大なり小なりあります。
しかし厚生労働省の調査では、些細なことでも、相談するケースは2割~半分くらいです。

職員がハラスメントを受けた場合の相談状況を見ると、サービス種別により多少の違いはあるものの、「ハラスメントを受けた際には些細な内容でも相談した」ケースは2~5割程度、「ハラスメントを受けた際に相談しなかった」ケースは2~4割程度となっています。

引用:厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」

つまり多くの介護職員が、一人で抱え込んでいる可能性があります。

しかし被害者である介護職員が我慢しても、状況は良くなりません。
むしろ事態が深刻化したり、被害が広がったりしてしまうことがほとんどです。

何よりあなた自身が、深く傷ついてしまうことになります。

もし今、あなたがセクハラでつらい思いをしているなら、どうか覚えておいてください。
被害者であるあなたは絶対に悪くありません。

人に相談して、声を挙げていきましょう。
そして、あなたの声は必ず状況を変える力になります。

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セクハラを受けたら相談する3つの理由

「もしかしたら、セクハラになるかも」
そう思っても相談しようか迷うことってありますよね?

それくらい、セクハラ被害はデリケートであり、アウトになる基準があいまいな問題です。
だからこそ、もしかしたらと思ったらすぐに相談しましょう。

理由は次の3つです。

・まずはあなた自身を早く守るため
・他の被害者を出さないため
・利用者の行動がエスカレートして事態が深刻化しないため

早くに相談することは、あなた自身を守るだけではありません。
同じように苦しむ人を増やさないための行動でもあります。

また、利用者自身の行動が悪化する前に行動できるというメリットもあります。

つまり、あなた自身を守るだけにはとどまらない大切なことなのです。
だからこそ、些細なことでも早期に相談しましょう。

3つの理由を具体的に確認していきます。

まずはあなた自身を守るため

相談は、何よりも被害を受けているあなた自身を早く守るためです。
我慢をしたり、嫌な気持ちを抑え込んで毎日仕事をする必要はありません。

嫌な気持ちを我慢していると、いつか精神的に限界がきてしまいます。
精神的に限界がくると

・仕事だけではなく、プライベートにも影響してくる
・つらさから仕事を続けられなくなる
・組織の対応が遅れ、守ってもらえるはずの支援が受けにくくなる

このような事態になってしまいます。

実際に私がみたケースを紹介します。
ある法人で仕事をしていた時に、訪問介護でセクハラを受けていた職員がいました。
利用者から、性的な発言や身体への接触が繰り返されていたのです。

職員は数か月間、我慢していました。
しかし、ついに精神的に限界を迎え、相談に至ります。

しかしその時にはショックが大きく、職場復帰には時間がかかってしまいました。
セクハラの影響は、その場だけで終わらず、後から深く心に残ることがあります。

そして、相談が遅れるほど、組織としての対応も遅れてしまいます。
だからこそ、相談することはあなたを守るための大切な行動なのです。

相談する行為は、何よりも一番大切なあなた自身を守るための行動です。
どうか一人で抱え込まず、早めに相談してください。

他の職員の被害を防ぐため

特定の利用者がセクハラ行為を行っている。
あるいは「このままではセクハラなるかもしれない」と感じる言動がある。

その時点で相談・報告をすることは、被害の拡大を防ぐためにとても重要です。
逆にセクハラ行為へのお咎めがないと、

・性的な言動をしても大丈夫という解釈をする
・言動がエスカレートする
・多くの職員にも同じ行為を繰り返す

といった悪循環に陥ってしまいます。

実際に前項で紹介したケースでは
実は代行で入った他のヘルパーも、セクハラ行為の被害を受けていました。

しかし「あの人はそんな言動をする人だよね」と受け止められていたのです。
つまり、誰も声を挙げられない状況になっていたのです。

その結果、追い詰められて仕事ができなくなる職員が出てしまいました。
もし誰かが声を挙げていれば、もっと早くに被害を抑えられたかもしれません。

だからこそ、少しでも違和感を感じたらすぐに相談しましょう。
すぐに相談することはあなただけでなく、他の職員を守る行動でもあります。

利用者の行動悪化を防ぐため

相談・報告をしないことは、利用者自身にも悪い影響があります。
それはセクハラ行為が、精神的な疾患や脳の機能低下によるものであった場合です。

なぜなら精神的な疾患や脳の機能低下によるものであれば、早い段階での対応が必要だからです。

つまり、セクハラを受けてあなたが我慢してしまうと、利用者への初期対応の遅れになります。
そして結果として利用者にとっても、良くない状況になります。

精神的な疾患や脳の機能低下とは、例えば次のような状態です。

・脳の前頭葉の機能低下により理性が働きにくくなる
・認知症の進行による判断力の低下

セクハラ行為が、脳の機能低下や精神的な病気によるものかは専門医の判断が必要です。
そのため、早期受診がとても重要です。

相談・報告を早く行うことは、適切な治療や専門的な対応につながります。
つまり早期の相談はあなたを守るだけではなく、利用者のためにもなる行動なのです。

もう1点、相談が遅れると事態が深刻化する理由があります。
それは組織の対応が難しくなることです。

・今まで言われなかったのになぜ急に言われるの?
・何も言われないから、大丈夫だと思っていた

セクハラをする側は、このように責任逃れをすることがあります。
「自分は悪くない」という言い訳です。

もちろん、言い訳は通用しません。
しかし組織として警告をした時、利用者は自分を守ろうとします。

その結果、話が泥沼化して解決へと進みにくくなってしまいます。

できる限り利用者が、責任逃れしにくい状況をつくる。
そのためにも早期の相談はとても大切です。

次の章では、実際の事例を2つ紹介し、早期相談の重要性をさらに具体的にお伝えします。

セクハラ相談の重要性を示す2つの事例

すぐに相談できなかった場合、そして早い段階で相談できた場合――。
私が勤めていた職場であった、2つのケースを紹介します。

どちらも長年、支援していた利用者でしたが、ある時期からセクハラ行為がみられるようになります。
しかし、相談するタイミングの違いで、結末は全く異なるものになりました。

・法人として支援は続けられないと解約に至ったケース
・専門医への相談と服薬により、行動が落ち着いたケース

訪問介護と介護施設という環境の違いは多少ありました。
しかし、以上に大きかったのは、行動がエスカレートする前に相談できたかどうかでした。

それでは、具体的な事例を挙げていきます。

相談が遅れた結果、解約に至ったケース(訪問介護)

まずは、相談が遅れてしまい、最終的に解約に至ったケースです。
利用者は男性(Aさんとします)で、訪問介護(以下ヘルパー)を5年以上利用していました。

ある日、ヘルパーの管理者から、法人の理事へ報告がありました。
「利用者のAさんが女性職員へセクハラをしているようだ」と。
具体的には次のような言動です。

・「体を触らせてほしい」と発言し、実際に触れてくる
・必要がないのに陰部に薬を塗ってくれと要求する
・訪問時に、卑猥なDVDをみせてくる

このような行動でした。

法人として、まずは職員へ事実確認を行った結果、次の事実がわかりました。

・セクハラ行為は、実は半年ほど前からあった。
・程度の差はあるが、複数人の職員が被害を受けていた。
・現場では何度も、やんわりと注意をするが行動は変わらなかった。

管理者に相談が上がった時点で、すでに状況は深刻でした。
相談をした職員も、精神的に限界を迎えていたのです。

早速、ヘルパーの管理者、担当のケアマネジャーでAさん本人と話をします。
するとAさんは次の反応を示しました。

・セクハラ行為については、あまり覚えていない
・セクハラ行為と思わなかったし、注意されていないから問題ないと思った
・「自分は精神的な病気があるから仕方がない」と責任を回避しようとする

自分自身の行動を改める意志が全くない態度でした。
また、話の内容にも矛盾があります。

法人は最終的に支援の継続は困難と判断し、解約に踏み切りました。
踏み切る際は、弁護士へ相談して手順を確認しながら進めています。

その後、男性が対応できる訪問介護のサービスをケアマネは探していました。
しかし、なかなか見つからずに苦労したと聞いています。

その後に法人としては、セクハラ案件の一連の流れを全職員に共有し、
「ハラスメントの疑いがあれば、些細なことでもすぐに相談・報告すること」
を改めて徹底しました。

早期相談で解決したケース(介護医療院)

次に療養型医療施設を利用していた方の場合です。
入所して3年ほど経っており、セクハラ行為のない方でした。

しかしある時期から、オムツ交換や入浴介助の際に、
女性職員の身体を触る行為がみられるようになります。
また、軽度の認知症があり、徐々に進行も見られていました。

セクハラ行為は、すぐに職員間で共有されます。
まずは初期対応として同性介助、つまり男性職員の対応に切り替えました。

その間、法人としてまずは本人へ事実確認を行います。
すると、本人は次のように話しました。

・女性が対応したときについ触ってしまった。
・触りたくなる衝動を抑えられない。

意外にも本人は行動を覚えており、衝動を抑えられないと自覚していたのです。

法人は次に、担当医へ相談しました。
認知症の進行もあったため、脳の機能低下に起因する所もあると考えたからです。

すぐに、医師の判断により精神薬が処方されます。
まずは、薬を飲んで様子を見ようということになりました。

その結果、症状は落ち着いてセクハラ行為はなくなったのです。
施設を退所する必要もなく、家族も安心されていました。

以上、2つのケースを紹介しました。
早期に相談できたかどうかで、利用者・職員・組織の未来が大きく変わることがわかるはずです。
次の章では、相談の手順や相談先について具体的に確認していきます。

相談前にやるべき「記録」の残し方

「いざ、相談しようとしたら頭が真っ白になった」
「利用者がやってない、覚えていないと言われたらどうしよう」

相談する時に上手く伝えられるか、信じてもらえるか不安ですよね?
相談をスムーズに進めるためには、事前の記録がとても重要です。

これから、記録を残すときのポイントについて説明していきます。
記録を残すときには次の点に注意しましょう。

・セクハラ被害を受けたら、できるだけ早く記録を残す
・記録や事実のみ、つらくても感情や主観はいれない
・上司に相談後も、その後の経過や対応などを記録しておく

ポイントは「何が起きたのか」という事実を残しておくことです。
「思う」や「辛かった」などの主観は、人によって解釈が変わってしまいます。

記録を残すことは、

・あなたを守る証拠になる
・相談するときに、説明しやすくなる
・事実が明確になると組織が動きやすくなる

といったメリットがあります。

振り返るのはつらいし、記録をつけるのは面倒かもしれません。
しかし、あなたを守るために欠かせない行動です。

被害を受けたらすぐ記録する

セクハラの被害を受けたら、まずはできるだけすぐに記録を残しましょう。
なぜなら、人間は忘れる生き物だからです。

エビングハウスの忘却曲線て聞いたことはありますか?
人は覚えてから24時間で、約7~8割の記憶を忘れると言われています。

ショックな出来事なので、忘れないと思うかもしれません。
しかし、人間の記憶は意外とあいまいで、主観によって変わります。

だからこそ、できる限り早く記録に残しておきましょう。

・出来事があったその日に記録を残す
・当日にできなければ24時間以内に記録する
・メモ用紙に書き出すなど、覚えている内に形にする

記憶が鮮明なうちに残した記録は、あなたを守る武器になります。
忘れてしまう前に、事実を形として残しておきましょう。

記録は事実のみ、つらいけれども感情は分けて記録

記録は事実のみを記載しましょう。
事実とは誰が読んでも、何があったのか同じように理解できる内容です。

曖昧な表現や主観的な表現は、人によって解釈が違ってしまいます。
記録は組織や上司に正しく状況を伝える役割があります。
できるだけ具体的な事実を記載しましょう。

例えば

・卑猥な発言をされた。→「胸を触らせてくれ」と言われた

など言われた言葉・された行動を、具体的に記載します。

特に5w1ℍの方法を踏襲して記載すると、より整理しやすくなります。

・いつ(When)
・どこで(Where)
・誰が(Who)
・何をした(What)
・なぜ起きたのか(Why)※分かる範囲で
・どのように(How)

個人的な感情や主観は避け、あくまでも「事実として何があったのか」を残しましょう。
それが、あなたを守る確かな証拠になります。

大切なのは相談後の経過も記録すること

セクハラを受けたときの記録を残すことはもちろん重要です。
そして、被害を受けてからどのように対応したのかを記録しておくことも大切です。

組織として、きちんと法的に問題がない対応をしていたのか、
適切な手順を踏んでを行っていたかを示す証拠になるからです。

セクハラのようなトラブルは、対応後に問題がこじれることも少なくありません。
たとえば次のような内容は、できるだけ詳しく記録しておきましょう。

・上司に相談した日時や内容
・相談した後にどのような対応が行われたか
・対応後、利用者がどのような反応を示したか

これらの記録は、後から状況を振り返る際にも役立ちます。

そして万が一、組織が動かなかったら、あるいはあなたを守ってくれなかったらーー。
そのときにも、これらの記録があなたを守る大切な武器になります。

セクハラを受けた記録は、被害だけでなく「対応の経過」も大切です。
しっかり記録を残しておきましょう。

上司へのセクハラの相談は不安・・・では誰に相談するか?

セクハラを受けたとき相談するべきは、直属の上司になります。
しかし実際に相談したときに

・「上司に言っても取り合ってくれるか不安」
・相談したら、「あなたにスキがあるからだ」と言われた。

このように相談する不安や、相談しづらい環境があるかもしれません。
そんな時には、相談相手を変える選択肢があります。

・職場の話しやすい同僚
→まず誰かに聞いてほしい、相談のハードルを下げたいとき
・外部の相談窓口
→相談しても上司や組織が取り合ってくれない時

介護の現場では、いまだに

・職員がセクハラを我慢してしまう
・「利用者は認知症だから仕方ない」と片づけられてしまう
・上司に相談しても受け流される

こうした状況が起きています。

しかし、一人で抱え込む必要はありません。
理解してくれる人、力になってくれる機関に相談していいのです。

具体的にメリットなどについて述べていきます。

相談しにくいときは同僚に・・・そのメリット

「いきなり上司に相談するのは不安がある」
「セクハラのような話を相談するのはためらってしまう」

そう思っているなら、まずは話しやすい同僚に相談しましょう。

セクハラを「自分の勘違いかも」と思って放置すると、
行為がエスカレートしたり、あなたの心身に負担が積み重なってしまいます。

そのため、早い段階で誰かに共有することが、自分を守る第一歩になります。

話しやすい同僚に相談することで、

・気持ちが軽くなる
・自分の状況を客観的に整理できる
・同僚も同じ利用者から同様の行為を受けていた、というケースが分かることもある
・必要であれば、同僚が上司へつなぐサポートをしてくれる

といったメリットがあります。

相談する相手としては次のような職員が安心です。

セクハラをしてくる利用者の様子を知っている
→話を理解してくれ、時には共感してくれる
口が堅く、日頃からうわさ話をしない人
→周囲に話を不用意に広げない
話をきちんと「聴いて」くれる
→話を否定せずに受け止めていくれるので、安心して話せる

「上司にはどうしても相談しにくい・・。」
そんな時でもまずは1人で抱え込むのをやめましょう。
抱え込むと、あなたが苦しくなります。

あなたは悪くありません。
まずは信頼できる同僚に相談し、あなた自身を守る行動を始めてください。

組織が動かない時の外部相談窓口(労働局)

「相談しても上司は全く取り合ってくれない」
「相談したけど、組織として何も動いてない気がする」

このように感じたら、外部の相談窓口を利用する方法があります。

ハラスメント相談では、各都道府県の労働局が相談窓口となります。
※よく混同されますが、労働基準監督署ではありません。

労働局は、以下の場合に利用できる窓口です。

・相談しても上司がうごいてくれない
・相談しても組織が対応してくれない

例えば組織が何もしてくれないとして、労働局へ相談したとします。
労働局が対応できるのは、主に次の内容です。

・相談者へのヒアリング
・組織に対する助言・指導
・当事者同士で解決できない場合の「あっせん」

あっせんとは、第三者が間に入り、話し合いによる解決を促す制度です。
弁護士・大学教授・社労士などの専門家が中立の立場で調整します。
※あっせん案の受け入れは強制ではありません。

あっせん制度について、厚労省から以下の発信があります。

紛争当事者間の調整を行い、話合いを促進して、紛争の解決を図る制度
● 紛争当事者の間に、公平・中立な第三者として労働問題の専門家が入ります。(弁護士、大学教授、社会保険労務士など)
● 双方の主張の要点を確かめ、双方から求められた場合には、両者それぞれに事案に応じた具体的なあっせん案を提示します。
● あっせんに参加したからといって、あっせん案の受け入れを強制されるわけではありません。

引用元:厚生労働省 パンフレット「職場のトラブル解決サポートします」

つまり、話し合って解決することを前提としています。
ちなみに労働局は次のようなことはできません。

・組織に罰則を与える
・強制的に改善させる
・利用者や上司を処分する

労働局はあくまで「話し合いによる解決」を前提とした機関です。

ハラスメントで組織が相談しても何もしてくれない。
このような状況の時、外部窓口はあなたを守る大切な選択肢となります。

ただし、労働局は強制力を持つ機関ではありません。
「助言・指導・あっせん」を通して解決を目指す場所 と理解しておきましょう

組織がとるべき対応を知っておく

法人や会社がどのような対応をするべきかーー。
知っておくと、被害にあっても安心して働ける職場か判断しやすいでしょう

一般的に組織がとる行動は、

・事実確認
・警告
・担当者の変更
・改善がなければ、専門機関への相談、(解約、服薬治療など)
・補足:契約時にハラスメントの説明

このようになります。

解約は最後の手段です。
介護保険では、利用者が希望する限り、事業所側が一方的に拒否することはできません。

つまり、解約には「正当な理由」と「適切な手順」が必要になります。
そのためにも、最初の事実確認から順を追って対応することが欠かせません。

被害を受けた側としては、すぐにでも解約してほしいと感じるかもしれません。
しかし、組織としては正式な手順を踏む必要があるのです。

では実際にどのような流れで対応が進むのか。
具体的に確認していきましょう。

まずは事実確認

まずは事実として、どのようなセクハラ行為があったのかを確認します。
関係者への具体的な状況の確認です。

・被害にあった職員へのヒアリング
・他の職員への被害はなかったのか確認
・本人へセクハラ行為について、覚えているかの確認

組織として知りたいのは「事実」です。
ヒアリングを受けた時には、できるだけ冷静に「事実」を伝えましょう。

あわせて次のような状況も確認し、整理していきます。

・特定の職員に対してだけ行っているのか
・いつ頃からセクハラ行為があったのか

利用者のセクハラ行為には、病気や脳の機能低下なども関わってくるからです。
そのため、組織としてはまず事実確認を行い、全体の状況を把握することが大切です。

事実が整理されたうえで、次のステップとして
「本人への警告」や「家族への報告」といった対応へ進んでいきます。

本人への警告と家族への報告

セクハラ行為が、事実として確認できた。
次に組織が行うのは、本人への警告と家族への報告です。

まずは本人へ「ダメなものはダメ」と明確に伝えます。
伝えたとき、警告を受けた利用者が感情的になるかもしれません。

しかし次の理由からも、しっかり警告することは大切です。

・セクハラ行為をやめてもらうため
・セクハラ行為をやめなかったとき、警告した事実を残すため
・セクハラ行為に至った背景を明らかにするため

このように、まずはセクハラ行為を止めること。
そしておさまらなかった時、次の行動につなげるための準備になります。

また、本人だけではなく家族にもきちんと伝えることも行います。
解決するためには、次のように家族の協力が必要になるケースがあるからです。

・家族からの注意で行動が改善するときがある
・専門医への受診に同行してもらえる
・解約など、特別な決断になった時にトラブルを避けられる

利用者と組織だけではなく、家族などの関係者の協力を得る。
協力を得ることは、スムーズに問題を解決できる時があります。

事実確認ができたらまずは、組織として本人への警告を行う。
そして、家族へ状況を報告して協力を得てもらう。

組織としてはこのような対応を行います。

担当者変更、同性介助への切り替え

セクハラにあって、職員がつらい思いをしているーー。
そのような時、組織がとして速やかに行うべき対応のひとつが、担当の変更です。

利用者も人生経験が豊富で、人によって態度や行動が変わる場合があります。
そのため担当する職員を変えると、セクハラ行為がおさまるケースもあるのです。

組織としては次のような対応を検討します。

・ベテランの介護職員を担当にする
・管理者など、権威のある人を担当にする
・可能であれば、同性の職員が対応する

このように、担当を変える=支援する人を変えることで環境を変え、
セクハラ行為が収まるかどうか、組織として様子を見ていきます。

ここで一つ、補足しておきたいことがあります。
もし担当変更によってセクハラがなくなったとしました。
それでも「原因は自分にあったのでは」と自分を責める必要はありません。

変わったのは、あくまで 環境と利用者の行動 です。
あなたの価値や能力が低かったからではありません。

セクハラ行為に対して、利用者の環境を変える。
そのために担当者を変更することは、組織として行うべき対応です。

・担当者を変えてもセクハラ行為が続く。
・人員の関係で同性の職員を配置できない。

このように対応が困難の場合は、サービスの利用そのものを断る時もあります。
あるいは行動が精神的な疾患に関わるものであれば、専門医への受診を勧めます。

詳しくはこのあとの章で、もう少し詳しく説明していきます。

改善がない場合の対応(専門機関へ相談)

担当変更を行っても行動が変わらない。
警告を行っても、利用者本人が全く悪びれる様子もない。
あるいは認知症などの病気の影響により、改善が見込めない。

このように、組織としてできる対応を行ってもセクハラ行為が続いたとします。
その場合、次のステップとして専門機関への相談に踏み切ります。

これは、組織として職員を守るためにできる対応に限界があるためです。
ここでいう「限界」とは、対応が法律の判断医療的な評価・治療
あるいは地域全体で支えるべき課題の領域に入ってくることを指します。

まとめると次のような例になります。

医師:認知症など病気の症状が背景にある場合
地域包括支援センター:セクハラ行為により支援が困難な場合
弁護士:解約など法的判断が必要な場合

利用者のセクハラ行為に、改善がみられない。
組織内で課題が解決できない。
このように組織としても対応に限界があります。

そのため、対応が難しいと判断した時点で、
専門機関へ相談し、外部の力を借りて解決を図るという流れになります。

補足:事前の予防策として契約時に伝える

あなたが働いている施設の契約書をみたことがありますか?
実は多くの契約書には、ハラスメントに関する項目が記載がされています。

最初の契約時にハラスメントについて説明することは、
組織として大切な予防策のひとつです。

特に、場合によっては契約解除につながる可能性がある。
このことを事前に伝えておく必要があります。

「解約になるなんてしらない」
「説明を受けてない」

こうしたトラブルを防ぐためにも、最初の段階で明確に説明しておくことが重要です。
また、利用者にとっても何がハラスメントになるのか、を理解するきっかけにもなります。

契約時に説明する内容の例としては、次のようなものがあります。

・ハラスメントにあたる行為を具体的に説明する
・場合によっては契約解除となり、利用ができなくなること
・必要に応じて弁護士に相談する場合がある

このように、何がハラスメントになるのか、最悪の事態としてどうなるのかーー。
組織として事前に伝えておき、予防線を張ります。

契約時にきちんと説明する行動は、 ハラスメントを未然に防ぐだけではありません。
万が一発生した場合にも迅速に対応できる準備になります。

契約時からしっかりと予防策を講じることも、組織として大切な行動です。

セクハラの相談を取り合ってくれない時は転職を選択肢に

セクハラの相談をしても取り合ってくれない。
自分にも原因があると、言われてしまう。

このように被害を受けて、相談しているのに組織が動かない。
そうなったら、転職を考えましょう。

職場には、職員が安全に働ける環境を整える義務があります。
職員を守る姿勢がない組織で、あなたが苦しみ続ける必要はありません。

・あの人は性格だから、認知症だから仕方ない
・セクハラをされた方にもスキがある
・介護の仕事ではよくある話

このように、セクハラを容認するような発言がまかり通る職場はすぐに去りましょう。

あなたが我慢する必要はどこにもありません。

もし本気で転職を含めて悩んでいるなら、
まずは情報収集から始めてみましょう。
いきなり辞める必要はありません。
ただ、選択肢を持っておくこと は、あなたの心を確実に軽くします。

私自身、環境を変えることで前向きになれた人を何人も見てきました。
そのため、まずは気軽に介護職向けの転職サービスをチェックしてみるのも一つの方法です。

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登録したからといって必ず転職しなければならないわけではありません。
「今の自分にはどんな選択肢があるのか」
自分の可能性を知るだけでも、 あなたの心の余裕につながります。

まとめ:あなたは悪くない。まずは相談する一歩から

介護職員へのセクハラ行為から、自分を守るためには、
まず「相談」することが大切です。
相談には次の重要な理由があります。

・まずは自分を守るため
・被害の拡大を防ぐため
・利用者の行動が悪化し、深刻化するのを防ぐため

相談する行動には、あなた自身だけではなく
他の職員や利用者のためにもなります。

どうしても相談しにくいときは、親しい同僚へ話してみましょう
上司へ相談するときに、一緒に立ち会ってもらうのも有効です。

そして相談後は、組織がどのように対応をしているか必ず確認しましょう。
利用者のセクハラを容認するような職場なのか、判断できます。
そして容認するようでしたら、転職を検討することも大切な選択肢です。

セクハラは、被害を受けているあなたが悪いのではありません。
職員を守る環境にない職場で、我慢して働く必要はありません。

今、セクハラで悩んでいる方、まずは一歩を踏み出しましょう。
その一歩とは「誰かに話す」ことです。
一人で抱え込むひつようはありません。

あなたが気持ちよく介護の仕事ができることを、願っています。

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